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DesigningとEngineeringの架け橋

有料化後の「聴く日経」が激しくクオリティダウンした3つの理由

2006年4月から2009年3月まで3年もの長い間、無料配信していた聴く日経がこの4月から有料コンテンツ化した。しかし、とても残念ながら無料配信時よりそのクオリティが明らかに下がってしまっているように感じられる。

簡素化・詰め込みが違和感やストレスの原因

以下、番組内容*1を無料配信時と有料化後で比較して、自分なりに違いを分析してみた。

1.テンポが悪くなった

まずキャスターが男性1人になってしまったこと。以前は男女ペアで順番にニュースを読み上げていたので、ニュース1本の区切りが声で無意識に判断できた。これは眠い朝の電車の中では結構大事な要素だった。男性の低い声だけだと催眠効果があるという副作用もあり、有料化後はお金を払っているのにも関わらず居眠りしてしまう事が多くなった。また有料化後はBGMをジングルのみに使用し、ニュース読み上げ中のBGMを廃止したためとても平べったい感じがしてしまう。さらに以前は語り口調だったヘッドラインが箇条書き風になり、本当にただ新聞紙面を読んでいるような印象を受けてしまう。以上の改悪から総じて番組全体のテンポが悪くなった。

2.区切りの時間がなくなった

次にスポンサーCMがなくなってしまったこと。以前はCMがあったことでニュースから一時離れて頭を休憩させる時間を(いい意味で)強制的に作られていたが、有料化後はCMを廃止したためにぶっ続けで聴く事を強いられるようになった。人間そんなに集中力が続く時って少ないんじゃないかな・・・朝は眠いし。しかも通勤中しながら聴くっていう状況が一番多そうなコンテンツ的特徴もある。そもそも番組コンセプトでも「ながら」を想定していたはず。だとしたらCMっていうコンテンツとは外れたものも、ある意味一つの重要な要素だったんだと思う。

3.バラエティ性が減った

最後に内容が硬いニュース一辺倒になってしまったこと。以前はキャスター2人がかなりフランクに自身の感想を語る「グッズニュース」や「本日・週末の予定」など番組構成にフックがあったのに、構成変更でこの2つのコーナーはなくなってしまった。ガチな経済ニュースを聴いた後にちょっと和める時間だったし、自分に身近な情報である新商品情報やその日の予定などは話題作りに役立っていた。過去のニュースから今日へとつながるという意味では番組を〆るいいコーナーだった。


「きっと自分が新しい番組形式に慣れていないのかもしれない」と疑ったこともあった。
無料配信を続けるにはコスト的に厳しかったり、スポンサーの激減で番組自体が存続の危機に瀕していたのかもしれないし、有料配信に際しては多くの苦労があったと思う。

でも気になった点を書き出してみて、やっぱり番組内容が改悪されてしまったのはとても残念です。ユーザ調査とかはしたんでしょうかね。。。有料化でもっとよくなると期待していたので、1リスナーとして品質の改善を求めたいと思います。

同様のケースで別の道を模索している番組も

同じラジオNIKKEIで放送していた伊藤洋一のRound Up World Now!。こちらも愛聴してたのですが不況の影響なのかスポンサー契約がなくなったようで、10年間続いてきた番組を一時中止。その後有料コンテンツ化を検討するためにリスナーへのアンケート調査をしたようだが、市場調査の結果、採算性や技術的な問題から断念。今までと同様のCM形式で番組再開を模索していくとのこと。

ひっかかったのは

技術的にも大変厄介な問題があります。従来のリスナー層の中心はiTunes利用者で、頂戴したメッセージの中に多数、有料化の場合はiTunes経由を希望するとのご意見がありました。ところが、iTunesには現時点で、有料番組を「録って出し」する機能が備わっていません。つまり、これまで、収録した番組を金曜深夜のオンエア前後にアップして、直ちに無料でダウンロードしていただけましたが、有料番組の場合にはそれができません。1ヶ月近くかかるとされています。従って、iTunes経由では、伊藤さんによる「1週間のニュースのまとめと解説」を迅速にお届けすることは、現時点では不可能です。
当社独自の課金システムの構築は、収益面で問題があるこの番組のみの都合では、この時点ではできないとの結論に達しました。今後の全社的な検討課題です。


リスナーの皆様へ 多数のご意見への御礼と有料化当面見送りのお知らせ | 伊藤洋一のRound Up World Now! | ラジオNIKKEI

という点。同じ会社でありながら、有料課金の仕組みを共有しない、もしくは意図的に共有しようとしていない。エントリーがあったが3月27日だとすると、聴く日経側の課金の仕組みが社内で認知されていなかった中で結論が下されてしまったとも考えれなくはないけど、その可能性は低いよなぁ。

まとめ

2つの番組ともに「無料である」ことが強みではなく、その内容が評価されて長い間続いてきたのだと思います。適正な仕組みとプライシングがユーザにマッチすればマネタイズできると思っていましたが、そう簡単には行かないようです。
経済への関心を紡いでくれたという意味では、両番組に対して個人的にはとても愛着があります。新聞メディア離れが叫ばれて久しいですが、Webサービスとの連携で新しい価値を創出してくれることを期待しています。

*1:番組内容の詳細はwikipedia:聴く日経が詳しい。