次世代検索サービス最新事情 - 週刊日経TRENDY
Winner takes allを覆す次世代検索サービス市場
現在、GoogleとYahoo!が圧倒的なシェアを占めていた検索サービスに新しい風が吹いている。*1
- マイクロソフトはLiveSearchを一新してBingを開始、Y! と提携など対Googleへの動き
- 中国の百度(バイドゥー)、韓国のNAVERは日本語検索に対応
- アメリカでは、Cuilやハンジ*2といった新サービスが注目されている
"Winner takes all." つまり、「トップシェアを獲得した企業が市場を圧倒する」のがネット業界の常識。だか現状として既存の検索サービスは壁にぶち当たっている。キーワード入力検索だけでは、それを元にユーザーが何を知りたいのか、何をしたいのかは判定できない。一般的なロボット検索ではキーワードとウェブページの一致を確認できるが、キーワードとページ内容の一致については判断できない。また、検索対象が既存ページのため、リアルタイムでの検索は難しい。「次世代検索サービス」と呼ばれるこれらの新しい検索サービスは、既存のサービスが抱える問題点に対して独自の機能や進化の方向性で勝負している。
検索結果ではなく回答を返す、計算知識エンジン「WolframAlpha(ウルフラムアルファ)」
http://www.wolframalpha.com/
物理学者のスティーブン・ウルフラム(Stephen Wolfram)氏が開発した検索サービス。最大の特徴はキーワードではなく質問文形式で検索をする。検索結果はウェブページへのリンクではなく、その解答への形式で表示される。クローラーロボットが検索した結果からではなく、公的機関の発表や書籍、論文を基に構築された独自のデータベースへの問い合せよって検索結果が返される。そのため一般的な検索エンジンよりユーザーが得られる情報が正確である可能性が高い。
検索結果をカテゴライズしてユーザの気持ちを先読みする「Bing(ビング)」
http://www.bing.com/
入力されたキーワードに対してユーザーが知りたいテーマを予測し、検索結果をテーマごとに分けて表示することでユーザの意思に対応している。例えば「都市名」を入力すると地図や天気、旅行情報など関連性の高いテーマが一覧表示され検索結果を絞り込む事ができる。
インターネットの基本、人力で検索結果の信頼性を上げる「Naver(ネイバー)」
http://www.naver.jp/
通常の検索結果の表示の他にユーザが設定したテーマに対して他のユーザがそのテーマに沿ったURLや画像、コメントなどを追加していくことができるという人力による検索結果の集約が可能。例えば「iPhone」で検索すると、使えるアプリ・レビュー記事というテーマがあり、それぞれにあった情報が集約されている。Bingと違って人力でテーマとその結果を集約して、ユーザの感性により近い検索結果を表示しようとしている。
リアルタイムが売り、マーケティングツールとして注目される「twitter(ツィッター)」
http://twitter.com/
ユーザが書き込んだコメントをリアルタイムで検索結果に反映させることで情報の速度を上げる試みがなされてる。例えば選挙速報が放送されている時に「選挙」というキーワードで検索するとその時のtwitterユーザの選挙に対する感想が瞬時に表示される。つまり世の中の人の「生の印象」を調べる事が出来る。GoogleやBingもtwitter検索への対応を進めている。こうしたリアルタイム性の高い検索サービスならば、将来的にはマーケティングツールとして活用も期待できる。
検索対象規模や質問形式など新しいメソッド
http://www.cuil.com/
Cuil(クール)は一般的な検索サービスの3倍以上のウェブページを検索対象としており、数のパワーで勝負している。ハンジはユーザに質問を繰り返すことでテーマを絞り込んで行くスタイルをとり、検索結果の精度を上げている。
2つの進化の方向性
ネット環境が整ってユーザの多種多様なニーズが全面に出てくると、単なる検索サービスだけではなくそれぞれのニーズに特化した専門性の高い検索サービスの需要が増えてくる。新興勢力の戦う場所はそこにあるかもしれない。
最初の検索は「ディレクトリ」から「ロボット」へ。そして現在、ウェブページが膨大り過ぎたために次のフェーズへ移行する時期にある。進化の方向性としては
- ウェブページは実は正確ではない情報が多々ある。それに対して正しい情報を与えようとする
- ネットの特性で人の力を使って正しい情報を集めようとする
という点が特徴として見受けられる。どちらが正しい情報が得られるかは永遠の課題だが、ともに検索結果の信頼性を上げるために進化の方向性がこの2つに見えてきたのが興味深い。
*1:週刊日経TRENDYで配信された内容の転用。最近の検索エンジンの動向がまとまっていて分かりやすかったため、独自に追記・編集した上でエントリーとして再構築しています。
*2:イマイチ正確に聞き取れず調べ切れなかった。